あらすじ
弁護士の藤井が初めて受け持った裁判での被告人は、学生時代に下宿していた畳屋のおかみ・妙子だった。
世話になった妙子の罪を少しでも軽くするため、藤井は必死に駆け回った。
妙子も戦う意思を見せていたはずだが、突然控訴を取り下げ、刑を受け入れた。
戦う余地はまだあったのに、一体なぜ…。
妙子の殺人は計画性がなく、不幸な出来事だった。
そう思っていた藤井だが、ひょんなことから妙子の目的に気づく。
表題作を含む六篇を収録した短編集。
感想
どのお話ももれなく傑作のミステリー。
それでいて、ホラーのようなゾクッとする不気味さに満ちています。
なぜそんなことに…?!と思ってしまうような出来事にも、それぞれにとっては正当な動機があるんです。
自分の守るべきもののために、ちょっと道を外れてしまった人たちの物語。
ハッピーエンドでは味わえない、もやもやとした読後感に支配されます。
一番怖かったのは「関守」ですね。
実際に見たかのように鮮明で、でも薄暗いイメージで想像される山道と、店内と、道祖神…。
伏線回収、タイトル回収、そしてラスト。
短編なのにすごい読み応えです。
ころり的好き度
★★★★★
コメント