「神の値段/一色さゆり」あらすじ・感想

神の値段 小説のあらすじ・感想

あらすじ

人前に一切姿を見せない不在のアーティスト・川田無名。

彼の作品は、所属ギャラリーのオーナーであり、彼の正体を知る数少ない者のうちの一人である唯子がセールスし、アート市場での評価を高めてきた。

今や現代アーティストの巨匠として、爆発的人気を誇っている。

ある日唯子は、強烈な魅力を放つ、古く巨大な無名の作品をギャラリーに運び込んでくるが、その晩何者かに殺される。

唯子の部下である佐和子は、計り知れないほどの商業的可能性を持つその作品を守るため、現代アートビジネスの闇に立ち向かう。

感想

自分の知らない世界に行けるのは読書の楽しみの一つですが、この小説も私にとっては未知だった世界に連れて行ってくれました。

現代アートビジネス。それはただ芸術を愛でるだけでは終われない、華やかでスリリングな世界でした。

アートについて無知なため、作家が手を加えない作品や値段のつき方、無名が神格化していく過程やビジネスとしてのアートを知り、驚きや感心の連続でした。

生存しているかもわからない無名。

唯子は一体だれが何のために殺したのか。

アートビジネスの光と闇。

じんわり不安な気持ちになる部分が多いお話ですが、狂気的な金額が動くオークションには、心臓が高鳴りました。

そしてその後は一転、静かで鮮やかな謎解きパート。

そしてそしてラストが最高で、佐和子と一緒にまた心臓が高鳴りました。

スッキリ終わりながらも美しい余韻が残される、素敵な小説でした。

ころり的好き度

★★★★☆

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