「マチネの終わりに/平野啓一郎」あらすじ・感想

マチネの終わりに 小説のあらすじ・感想

あらすじ

天才クラシックギタリストの蒔野聡史は、コンサートの終演後に楽屋を訪れたジャーナリスト・小峰洋子に強く惹かれた。

婚約者がいる洋子もまた、牧野に好意を抱いてしまった。

四十歳という繊細な年齢を背景に、二人の思いは強まっていくが、牧野のスランプ、洋子の PTSD、さらにはマネージャーの想いやお互いを思う気持ちが、多くのすれ違いを生んでしまう。

どうしようもないほどにもどかしく、切ない、大人の恋の物語。

感想

恋愛小説は読まないのですが、私自身アラフォーなこともあり、手に取ってみました。

大人の恋愛ということで、思慮深くも情熱的な心理描写がとても良かったです。

映画化されている作品ですが、この心理描写は小説で楽しまなきゃ損!と思ってしまいます。

(映画は見ていないので、その辺をどう表現しているのかは気になりますが…)

こんなに思い合っているのに、好きという気持ちだけでは結ばれなくて、色々なものに振り回されたり邪魔されたりで、本当にもどかしいです。

一番のきっかけは蒔野のマネージャーだと思うんですが、彼女は彼女なりに蒔野の成功のために一生懸命で、罪悪感にも苛まれて、憎めないんですよね。

蒔野も、洋子も、マネージャーも、それぞれが幸せだと思える人生になってほしい。それはどんな形なんだろう…と想像する楽しみを残してくれる終わり方が、とても素敵でした。

また、洋子が蒔野に惹かれるきっかけの一つであり、この作品のテーマの一つである「未来によって過去が変わる」という言葉が効いてくる、終盤の洋子と父のシーンもとても印象深かったです。

ころり的好き度

★★★★☆

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