「カケラ/湊かなえ」あらすじ・感想

カケラ 小説のあらすじ・感想

あらすじ

テレビ番組のコメンテーターとしても活躍する美しき美容外科医の橘久乃は、カウンセリングの途中、ある少女が大量のドーナツにかこまれて自殺したという事件を知る。

地元で起こった奇妙な事件の背景を調べるため、久乃は関係者に話を聞いていくことにした。

関係者たちによって語られる食い違った事実に、徐々に浮かび上がる事件の真相。

それぞれが求める美しさを手に入れた先に、思い描いていた幸せは待っているのか。

感想

討論番組でのコメントから始まり、関係者たちの一人語りのような文章のみでつないでいく個性的な作品です。

それゆえ語り手の主観が際立ち、同じ人間・出来事に対しての見え方の違いが面白く、恐ろしいです。

それぞれの語り手のエピソードは、どれもパンチが効いていました。

肥満児だったという久乃の同級生の娘である有羽がたくさんのドーナツにかこまれて死亡するという結末にたどり着くまで、読み進めるほど明らかになるどころか、事件を取り巻く人々や久乃自身の印象がどんどん変わっていく展開に、目が離せなくなりました。

それぞれ希望はあったのに、すれ違いがあって、暗い方へ行ってしまう。

どうすればみんな笑顔になれたんだろうかと、悲しい気持ちになりました。

リアリティがあって毒や風刺が効いている湊かなえさんの作品は好きで、今作も良いイヤミスでした。

ころり的好き度

★★★★☆

コメント

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