あらすじ
知的障害者厚生施設の入所者である少女が、手首に深い傷を負って救急搬送された。
その際、救急車内で暴れて施設長や隊員にけがを負わせた青年、藤木司。
彼は統合失調症と診断され、臨床心理士の佐久間美帆が勤務する病院に入院することになった。
カウンセリングを重ねるうち、司は声に色がついて見え、色から感情が読める「共感覚」の持ち主であることが判明する。
司が言うには、施設長は嘘を言っており、少女は施設長に殺されたという。
司にとってかけがえのない存在であったという少女は、なぜ死ななければならなかったのか。
美帆と司、そして共感覚を否定する警察官の友人・栗原は、少女の死の真相を探る。
感想
探偵役がいて、相棒とともに組織の闇に迫り、解決パートで探偵役が命の危機に瀕し、相棒が駆けつける、というミステリの王道ストーリーで、黒幕もわかりやすい。
ですが、声に色が見えるという特殊能力に惹きつけられますし、事件の痛ましさや犯人の狂気には強く感情を揺さぶられ、ありきたりな印象はありませんでした。
患者を思うあまり衝動的に動いてしまう美帆にハラハラしますが、冷静な栗原がストッパーになっていて頼もしい。
司と栗原の中の悪いコンビも、なんだかいい味が出ていて好きでした。
重い描写はあるものの、とても読みやすかったです。
物語は綺麗に終わりましたが、今回の事件できっと心に深い傷を負った美帆や司、そして赤い靴の少女は、これから穏やかに暮らしていけるのでしょうか。考えてしまいます。
ころり的好き度
★★★★☆



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