あらすじ
休日の銀座の歩行者天国に現れたのは、ウェーブのかかった長い黒髪に白い詰襟服の自称王子。
情報番組の街角インタビューで「僕の人魚がいなくなった」と応え、全国に放送された王子の姿は、「#人魚が逃げた」とまたたく間にSNSで拡散された。
王子を演じる役者だと考える者、ただの目立ちたがり屋だと考える者、本物の王子だと考える者…
様々な事情を抱えた人々が話題の王子と出会い、それぞれの一歩を踏み出していく。
感想
様々な境遇の五人がそれぞれ主人公になる連作短編集です。
どれもわかりやすい心理描写と心が温かくなるストーリーばかりで、気持ちが疲れた時に読みたくなる一冊です。
子供を持つ身としては二章に涙しましたし、主人公に一番共感したのは四章だったりと、いろいろな楽しみ方ができました。
そして作品中に散りばめられた遊び心が回収されるエピローグがとてもチャーミング。
エピローグだというのにとてもわくわくして、明日からも続く日常にちょっとした楽しみを与えてくれます。
和光の時計塔、木村屋のあんぱん、歌舞伎座など銀座の魅力いっぱいの舞台に、人魚姫と絡めたエピソードが素敵でした。
ころり的好き度
★★★★☆



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