あらすじ
医学的な検査では異常がないが不調を訴える患者の相手となる「不定愁訴外来」、通称「愚痴外来」の田口はある日、病院長から調査を命じられる。
調査対象は、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術を行う「チーム・バチスタ」。
難易度の高いバチスタ手術を成功させてきたチーム・バチスタだが、三連立て続けで失敗し、術中死に至っているのだ。
神がかった手技でチームを率いる桐生は、自分のミスだとは思えないと、自ら病院長へ調査を依頼したのだった。
田口はチームメンバーへの聞き取りや手術の見学をしたが、調査は行き詰まる。
そこへ厚生労働省からロジカルモンスターと称される白鳥が派遣され調査に加わり、めちゃくちゃな方法で真相を追求していく。
感想
病院内での死亡という医療ミステリーなのですが、医療ミスなのか、不運なのか、悪意ある殺人なのかもわからない。
そしてメンバー同士の監視やビデオ撮影されている手術中という特殊な環境で起こるミステリーが新鮮でした。
主人公である田口の語りで一貫していて、たびたびユーモラスな表現があったり、不意にハッとする文章が現れたりと、読んでいて楽しいです。
ただ前半は病院内の人間関係や専門的な単語の説明等が多く読みにくかったですし、聞き取り調査が続くのが単調でした。
しかし後半から登場する不愉快かつ痛快な白鳥が物語をいい意味でかき回し、グッと楽しく読みやすくなります。
登場人物みんなそれぞれ性格の違いが分かりやすいのですが、白鳥の「アクティブ・フェーズ調査」によって、より一層キャラ立ちしてドラマチックになっていきました。
やさしくしたたかな田口と、無作法で切れ者の白鳥のコンビが楽しい作品でした。
ころり的好き度
★★★★☆
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