「村上海賊の娘/和田竜」あらすじ・感想

村上海賊の娘 小説のあらすじ・感想

あらすじ

戦国時代、瀬戸内海を支配していた村上海賊の当主である村上武吉には、二人の息子と、景(きょう)という娘がいた。

色白でふくよか、しとやかな女性が美しいとされる時代で、日に焼けた肌に大きな目と口、長い手足を振り回して海賊働きをする景は、まさに醜女で悍婦であり、いつまでも貰い手がなかった。

景は「好いた男と軍船に乗り、華々しく戦う」という夢を胸に抱き、海に出る。

感想

読み始めてすぐに目に入ってくる、昔の言葉遣いや覚えにくい人物名。

私が歴史に疎いのもあり、正直この分厚い上下巻を読み切れるのだろうか…と途方にくれたものの、景の鮮烈な登場シーンからは、私の中ではぐっと読みやすく、面白くなりました。

歴史もの、とりわけ戦争ものはお堅いイメージがあるのですが、醜女のラブコメのような展開に親しみやすさが沸き、人間ドラマに心を打たれ、戦のシーンでは手に汗握りました。

特に後半の海上での戦は、臨場感とスケール感が素晴らしく、映像作品を見ているようです。

景はもちろん、敵も味方もみんな魅力的なため、たくさんの血が流れるのに清々しさすら感じる物語です。

個人的には景の弟で臆病者の景親が好きですね。

景親が覚醒する場面は、多数ある心躍る場面のうちの一つです。

歴史ものゆえの読みにくさや、長編ゆえ読むのに時間がかかるというのはありますが、万人が好きなストーリーなのではと思います。

ころり的好き度

★★★★☆

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