あらすじ
宅配ドライバーである青柳雅春は、偶然訪れた配達先で、強盗に襲われているアイドルを救い、一躍時の人となった。
それから二年後、地元である仙台で行われていた首相のパレードで、群衆が注目する中、突如爆発が起きる。
青柳雅春は全く身に覚えがないにも関わらず、警察やメディアをはじめ、大いなる「何か」によって首相暗殺の犯人に仕立て上げられた。
過去の記憶と縁を頼りに、理不尽な暴力や容疑に抗う男の、必死の逃走劇。
感想
自覚がないまま犯人となる準備がなされ、身に覚えがないのに犯人にされる展開が、リアリティがあって怖いです。
万事解決!というラストではありません。でもそれは欠点ではなく、巨大な陰謀から逃亡する青柳にスポットを当てたなら、そういうストーリーも現実味があるし、味だなぁと思いました。
長編ですが、文章は読みやすく、テンポも良いです。
なんでもない日常会話やちょっとしたエピソードは、ユーモアがありながらもシリアスシーンの妨げにはなってませんし、伏線となって後で効いてきて、多くの山場を生んでくれます。
サークル仲間や宅配ドライバー仲間との絆、そして新たにできた縁には、胸が熱くなりました。
陰謀の怖さや逃走のスリルと、人間の温かさがどちらも楽しめて、とても面白かったです。
ころり的好き度
★★★★★


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