あらすじ
人に理解されることのない性的嗜好を持つ佳道、夏月、大也。
同級生との猥談、サークル活動、親からのプレッシャー等、異性の人間との関わりで成り立つ【正しい】社会で生きていくためには、たったひとつ、自分の性癖を隠し続けなければいけない。
誰にも明かさず、関わらず、動画配信サイトを拠り所としていた彼らだったが、サイトの規制をきっかけに、繋がりを持とうとする。
彼らは、多様性を謳いだした【正しい】社会で生き延びることができるのか。
感想
冒頭、多様性が謳われることへの嫌悪から始まり、続くのは児童ポルノ摘発のニュース。
小児性愛者にまつわる物語、、、ではなく、多くの人が想像もしない性的嗜好を持つ人たちの、苦悩と希望の物語です。
私の考える多様性なんて、全然多様じゃなかった。
この作品の言葉を借りれば、「マイノリティの中のマジョリティ」を知った気になってるだけでした。
珍しい性的嗜好を持つ彼らは、他者の介入を拒むという辛い方法で生きているのですが、「繋がる」という希望を見出します。
そうして物語が明るくなっていく展開が、児童ポルノ摘発のニュースを既に読んでいるため、悲しみを帯びていて、美しさを感じました。
また、終盤の大也と八重子の、状況描写によるスピード感を味方につけた熱いやり取りは、とても胸にささります。
この作品を読んで、多様性について一歩踏み込んだ自分になれたのではないでしょうか。
ころり的好き度
★★★★★
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