「夜が明ける/西加奈子」あらすじ・感想

夜が明ける 小説のあらすじ・感想

あらすじ

「お前はアキ・マケライネンだよ!」

高校生の俺は初めて、同級生の深澤暁に、すでに他界している外国のマイナー俳優に似ていると話しかけた。

貧困で吃音、母親からはネグレクトを受けており、目立つ容貌だが誰からも相手にされない暁だったが、アキと名乗りアキ・マケライネンになりきることで、みんなの人気者となっていく。

一方何不自由なく暮らしていた俺は、父親の死により、状況が一変した。

知ってほしい、アキが、アキの体で、どんな風に生きていたか。

そして、俺の事もーー

ともに思春期を過ごした二人の友情、成長、苦しみ、そしてその先を描いた物語。

感想

ごく一般的な高校生だった「俺」が落ちてゆく様子は、身近に、もしかすると自分の身にも起こりそうなリアルさがあります。

傍から見れば、どうしてそこまで…と思うのでしょうが、当人にとってはそうならざるを得ない。

健やかな人生を送るにあたって、気にかけてくれる人がいるかいないかって、とても重要だなと思いました。

貧困はお金だけでは解決しない。心を救うことから始まることもあるということを、改めて思い知らされました。

アキと「俺」がお互いを信頼し合い、楽しい青春時代を過ごし、大きな夢を持つ前編ですが、後編では社会の理不尽に押しつぶされていき、辛いけど目を背けてはいけないことが続きます。

でも「俺」は、(きっと読者も、)後輩・森の言葉で救われます。

おかげで読後感は明るく、まさに夜が明けていくようでした。

また時折挟まれる、アキの日記のようで違う、ひらがなで書かれた手記のようなもの。

良い雰囲気を作っているものの、何だろう?と思って読み進めると…驚きの正体でした。

ある人には感動を、ある人には新しい視点を、ある人には勇気をと、すべての人に何かを与えてくれる物語だと思いました。

ころり的好き度

★★★★☆

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