あらすじ
マイペースな母と温かい父の愛に満ちた生活から一変、叔母の家で暮らすことになった更紗には、居場所がなかった。
嘘の笑顔をはりつけ、夜に怯える日々から逃げ出すためにすがったのは、子どもたちからロリコンと噂される青年・文だった。
文と暮らした二か月間は、更紗が自分らしくいられるかけがえのないものになる。
それから月日が経ち、「誘拐事件の被害者女児」である更紗と「加害者」である文は、それぞれの想いを抱えたままそれぞれの人生を歩んでいたが…
感想
育児放棄、性暴力、DV…重いテーマが次々とやってきますが、時にコミカルさすら感じるような抜きどころがあって、読みやすいです。
そしてとても美しい文章。
更紗が喜びを感じているときは、文章がキラキラして見えます。
優しさで人が救われなくて、二人を救うのは二人の間にある真実だけという、なんともやるせないような、神聖なストーリー。
周囲の理解が一生得られないのはかわいそう?
二人が幸せならそれでよかった?
すっきりしないけど、モヤモヤするというのも違う。
どんな言葉もしっくりこない不思議な読後感で満たされました。
ころり的好き度
★★★★★
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