あらすじ
四年二組の担任を勤める佐村美冬は、児童である戌井光汰朗が他の家庭から壁を作られている雰囲気を感じ取る。
数日後、地元新聞記者である恋人の桜木透真から、光汰朗の家が25年前に起きた受付嬢誘拐殺人事件の被害者家族であることと、同時期に起こった児童轢き逃げと思われる事件、そして二つの事件と関連付けられた根拠も悪意もない噂の数々を聞く。
ある日の放課後、美冬は家とは離れた場所で光汰朗を見かけ声をかけるも、特に問題視せずその場を去った。
しかしこのやり取りを最後に、光汰朗は行方不明となる。
過去の事件が今も暗く影を落とすこの狭い田舎で、またもこの家の人間がいなくなったのは、誘拐か、事故か、それとも…
感想
上下巻からなる長編であり、内容もずしりと来るので、とても読みごたえがあります。
そしてとにかく心理描写が秀逸で、過去の事件の被害者家族、加害者家族、当時を知る者、知らない者と様々な立ち位置の人物が登場しますが、それぞれの気持ちが巧みに書き上げられています。
中でも失踪した光汰朗の居場所に迫るシーンの恐怖と勇気にはこちらもドキドキしましたし、25年前の事件の秘密が明かされたときの遺族の気持ちには胸が苦しく、熱くなりました。
辛く重いところのあるお話ですが、希望のある美しいラストで、あぁ、この本を読んでよかったなぁという気持ちが込み上げました。
ころり的好き度
★★★★★


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