2016年10月30日第一版発行の森見登美彦著「夜行」のあらすじ・感想をネタバレなしで紹介します。
(読了日:2026年10月6日)
あらすじ
英会話スクールに通う学生たち六人で鞍馬の火祭を見物に出かけた夜、仲間の一人である長谷川さんが失踪した。
それから十年後大橋の呼びかけで、長谷川さんを除く当時の仲間たちと、再び火祭を見に行くために集まることとなった。
待ち合わせ前、大橋はいるはずのない長谷川さんに似た女性を見かけて後を追い、ある画廊へ入る。
そこで目にしたのは、「夜行」という連作のうちのひとつである銅版画だった。
やがて五人が集まり、不思議な魅力のあったその銅版画について話すと、他の仲間たちもそれぞれ銅版画「夜行」についての思い出を語り出す。
感想
作中、「夜行」について、
夜行列車の夜行か、あるいは百鬼夜行の夜行かもしれません
とありますが、この小説自体も、夜行列車のように知らない世界への好奇心や少し物悲しい気持ちとともに夜を旅しているようですし、百鬼夜行のように得体のしれない恐ろしいものを前にしているように感じました。
さて、登場人物それぞれの語る「夜行」の思い出はどれも魅力的な不気味さですが、正直わけがわかりません。
それなのに最終章では
とくに何ということもない平凡な旅の思い出
とされているし、なんだか妙に爽やかなラストも、結局どういうことなのかよくわからない。
もはやキツネにつままれたような読後感…。
かなり受け身で読んでいたので、初めはそんな感想になってしまったのですが、この小説のサイトや考察サイトなどを覗いてみると、なんと奥深いこと。
「よくわからないけど魅力的な作品」という印象から一気に、「考察が楽しい怪談ミステリー」に印象が変わりました。
私百鬼夜行というものをよくわかっておらず、鬼や妖怪がぞろぞろ歩いているくらいの知識しかなかったのですが、調べてみると百鬼夜行を見ると死んでしまうとか、朝日が昇ると消えるとか、考察の材料になりそうな設定がいろいろあるようでした。
これから読むという方は、ぜひ深読みしながら読んでみてください!
ころり的好き度
★★★★☆


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