2016年10月4日第一版発行の村山早紀著「桜風堂ものがたり」のあらすじ・感想をネタバレなしで紹介します。
(読了日2026年9月16日)
あらすじ
駅前の古い百貨店内にある書店、銀河堂。
隠れた名作を発掘することに長けた文庫担当の月原一整には、どうしても売りたいと思う本があった。
その本の出来あがりを楽しみにしていた一整はある日、万引き現場を目撃する。
書店員として、本を愛するものとして追うが、追われた万引き少年が事故に遭ったことで、一整は世間からバッシングを受ける。
銀河堂書店を去ることにした一整は、かねてから会いたいを思っていた、田舎町の書店を経営する友人に会いに行くことにした。
そこで待っていたのは、過疎化が進む美しく温かい町と、本を愛する店主、そして店主に愛され育てられてきた、閉店の危機にある桜風堂書店だった。
とある本と書店員たちの情熱が起こす、奇跡と感動の物語。
感想
「四月の魚」という本をめぐる奇跡のお話であり、お仕事小説でもあります。
客としてたびたび訪れ、静かで落ち着く本屋さんですが、そこで働く書店員さんたちはこんなにも忙しく、本や売り場に情熱を注いでいるのかと、読んで改めて尊敬の気持ちを抱きました。
神秘的な雰囲気の序章や、読み手に寄り添うような優しい文章、オウムや猫が登場するところや美しい町の描写は、童話を思わせるようで温かい印象を受けますが、書店員たちの本への思いは熱く、力強さを感じます。
そして「四月の魚」の作品としての素晴らしさや、一整の誠実さ、書店員たちそれぞれの特技が巻き起こすムーブメントには、とてもわくわくしました。
主人公である一整は、過去の出来事から他者と関わることを避けるようになりましたが、本への愛情はもちろん、本を愛する人への愛情や、本や動物への接し方には深い優しさを感じ、とても好感が持てて、素敵なキャラクターです。
本好きは共感するところが多いと思いますし、あまり読書をしない方は本屋さんに行きたくなるようなお話だと思いました。
ころり的好き度
★★★★☆


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